外交部の呉志中政務次長(=副大臣)は今月4日、米ニューヨークに本社を置く国際通信社ブルームバーグ・ニュースのオランダ特派員Cagan Koc氏のインタビューを受けた。その内容は5日、「Taiwan is Praying for Stronger US Ties After Ukraine Fallout」(ロシアのウクライナ侵攻後、米国との関係強化を望む台湾)のタイトルで報じられた。呉次長は、台湾が自国の国防力を強化するだけでなく、近い理念を持つ国々に対して台湾海峡の平和と安定に関心を寄せるよう呼びかけていること、安全保障分野での米国との協力強化を望んでいることなどを強調した。呉次長の発言の概要は以下のとおり。
★★★★★
中国の脅威に対抗するため、台湾は自身の国防能力の強化に尽力している。今後も米国からの武器購入を継続し、米国との二国間関係を深化させるだろう。頼清徳総統はすでに、台湾の国防支出をGDPの3%に引き上げることを発表し、自らの主権は自ら守るという台湾の決意を世界に示している。
安全保障分野での米国との協力については言えば、台湾と米国は非公式な形式で、より密接な関係を築くことができると考えている。これは、二国間の協力関係をさらに強くするだけでなく、「台湾を侵略することは容易ではない」という明確な戦略的メッセージを中国に伝えることになるからだ。
半導体産業は台湾にとって「シリコン・シード(Silicon Shield)」、つまり「半導体の盾」である。台湾の半導体産業は世界の供給網(サプライチェーン)にとって極めて重要だからだ。台湾は半導体産業のエコシステムの中で戦略的な役割を果たしており、それが台湾の戦略的地位を重要なものにしている。台湾は各国と協力しながら、国際情勢に応じて適切に政策を調整していくだろう。世界各国が台湾で生産される半導体に依存している。つまり、台湾周辺地域の平和と安定の維持は各国の国家利益を左右する問題なのだ。最近、台湾積体電路製造(TSMC)は対米投資の拡大を発表した。これはTSMCの海外での投資計画が、台湾の戦略的重要性を弱めることがないばかりか、台湾の半導体産業の市場開拓に有利となり、そのリーダーシップを維持するものであることを意味している。
中国が台湾侵攻の野心をむき出しにする中、戦略的要衝にある台湾は、これからも米国との戦略的パートナーシップを強化すると同時に、台湾海峡の現状維持を支持するよう国際社会に働きかけ、台湾海峡の平和と安定を維持していきたい。我々は中国に対して、台湾を侵略する時期は「今日ではない」と思わせる抑止戦略、つまり「Not Today Policy」を掲げている。具体的には、大量のミサイル防衛システムを配備し、潜水艦の国産化を進め、米国から防衛用の武器を継続的に購入すると同時に、中国に侵略の口実を与えないように努めている。これらはすべて、台湾を攻撃することが中国にとって賢明な選択ではないというメッセージを伝えるための措置なのだ。
★★★★★
ブルームバーグは1981年に設立された金融・経済情報メディア企業。世界に130以上の支局・支社と2,000人以上のジャーナリストを擁する。毎日、経済や国際ニュースに関する権威ある分析や観点を提供しており、世界の世論に強い影響力を持っている。